がん保険の先進医療特約が生きる陽子線治療・重粒子線治療とは

  • 執筆者
  • 40代・50代女性のためのお金の相談室
  • FP 三原 由紀

がん保険に加入している、あるいは加入を検討している場合、先進医療特約を付加している、あるいは付加したい人が多いのではないでしょうか?

月額約100円の割安な特約保険料で高額な治療費をカバーできることからとりあえず付加している方も多いことでしょう。

今回は、がんの先進医療の中でも特に高額な陽子線治療と重粒子線治療について詳しくお話しします。

がんの三大治療と陽子線治療・重粒子線治療

現在、がんの治療は、放射線療法・化学療法・手術の三大治療が基本で、いわゆる「標準治療」といわれ、この3つの療法を組み合わせた治療が行われています。

複数の治療法を併用することで治療効果を高め、体への負担を軽減することが期待されています。がんの種類や病期(ステージI~Ⅳ)によって、がん治療は多様化しており、今やがん治療はオーダーメイド治療の時代です。

三大治療の主な療法を簡単に図にしてみました。重粒子線治療と陽子線治療は放射線療法に含まれます。

従来、放射線療法で使われているX線は電磁波の一種であり、重粒子線や陽子線は粒子線です。

X線は体の表面近くで多くの放射線が照射され、体の中を進んでいくうちに効果が低下するので、体の奥にあるがんを治療するのが得意ではありません。

一方、粒子線は体の奥深くで照射量が最大になる特徴があるので、体の表面にある正常な組織へのダメージを抑え、体の奥にあるがん組織を破壊することができます。

各種放射線の線量分布(生体内)


出典:独立行政法人放射線医学総合研究所

上の図からわかるように、X線は体の表面から2センチ以内で照射量が最大になり、陽子線・重粒子線は体の深部8~12センチで照射量が最大になります。

陽子線治療・重粒子線治療の特徴

  • 痛みを伴わない
  • 臓器の機能や体の形態の欠損が少い
  • 容姿、容貌を損なわず、傷跡も残らない
  • 高齢者にも適用できる
  • 副作用が少ない
  • 早期なら根治可能
  • X線では治療困難な、深部がんにも向く
  • 社会復帰までの期間が短い

出典:公益財団法人 医用原子力技術研究振興財団「粒子線治療の特徴」より

陽子線治療・重粒子線治療を含む粒子線治療は、外科的治療と異なり、痛みがほとんどないことなどから夢の治療法とも言われています。

これらの特徴から生活の質(QOL)を高く保つことも期待されます。

陽子線治療と重粒子線治療の違い

陽子線治療と重粒子線治療はいずれも粒子線治療の一種ですが、それぞれの特徴をみてみましょう。

  陽子線治療 重粒子線治療
線量の集中性 良好 良好・陽子線よりも鋭い
※ピーク以降は陽子線より鈍い
照射角度 360度
(回転ガントリー)
縦・横・斜めの3方向
→360度(回転ガントリー)移行予定
生物学的効果比 X線の1.1倍 X線の2~3倍
治療期間 短期(8~38回) 陽子線よりも短期
過去の治療者数(世界) 約12万人 約2万人
稼働中の施設(世界) 50施設以上 9施設

稼働中の施設(日本国内 平成29年6月現在)

12施設 5施設
治療費
(平成27年7月1日~平成28年6月30日実績の平均費用)
約276万円 約309万円

出典:一般財団法人メディポリス医学研究財団「重粒子線治療との違い」・公益財団法人 医用原子力技術研究振興財団「日本の粒子線治療施設の紹介」・厚生労働省「平成28年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」を元に筆者が作成

上の表からわかるのが、重粒子線治療は陽子線治療と比べ、ピンポイントの照射が可能、破壊力が大きいことです。

そのため、照射回数が陽子線治療より少なくて済み、治療期間も短くなります。治療費は、重粒子線治療の方が陽子線治療より約30万円ほど高くなっています。

世界規模で見ると、1954年から現在に至るまで重粒子線治療を受けた人数は陽子線治療を受けた人数の6分の1と少なく、施設数も陽子線治療より少ないです。

なお、重粒子線治療に関しては世界9施設のうち日本に5施設あることから、日本の重粒子線治療は世界でも最高レベルと言えます。

陽子線治療・重粒子線治療に適したがんの種類について

陽子線治療や重粒子線治療はすべてのがんに適した治療法ではありません。

先進医療ということは、公的医療制度の給付対象になる前段階という要素を含んでいます。

ですから適応になるかどうかは、患者本人が希望していることが前提で、主治医が必要性・合理性を認めることが必須となりますが、目安となる適応疾患についてみていきましょう

陽子線治療・重粒子線治療の適応疾患

陽子線治療 重粒子線治療
脳脊髄腫瘍 頭頸部腫瘍
頭頸部腫瘍 肺・縦隔腫瘍
肺・縦隔腫瘍 消化管腫瘍(食道癌、直腸癌術後局所再発、大腸癌術後骨盤内再発)
消化管腫瘍(食道癌、直腸癌術後局所再発) 肝胆膵腫瘍
肝胆膵腫瘍 泌尿器腫瘍(前立腺癌、腎癌)
泌尿器腫瘍(前立腺癌、腎癌など) 乳腺・婦人科(子宮頸癌、子宮体癌など)
乳腺・婦人科(子宮頸癌、子宮体癌) 転移性腫瘍(肺転移、肝転移、リンパ節転移)
骨軟部腫瘍(脊索腫、軟骨肉腫、骨肉腫など)  
転移性腫瘍(肺転移、肝転移、リンパ節転移)  

出典:公益社団法人日本放射線腫瘍学会「粒子線治療(陽子線治療,重粒子線治療)の疾患別統一治療方針」を元に筆者が作成

陽子線治療の適応疾患の方が多いことがわかります。

陽子線治療・重粒子線治療の適応条件

次に治療を受けることができる適応条件を見ていきましょう。

陽子線治療の一般的な適応条件は以下の通りです。

  • 対象部位に対する放射線治療の既往がないこと
  • 病理診断がついていること
  • 評価可能な病変を有すること
  • 原則として腫瘍の最大径が15cmを超えないこと
  • 広範な転移がないこと
  • 30分間程度、同じ姿勢で動かずに寝ていられること

出典:一般財団法人メディポリス医学研究財団「陽子線治療により効果が期待できるがん」より

また、重粒子線治療の一般的な適応条件は以下の通りです

  • がんであることをきちんと予告されていること(・患者自身ががんであることを認識していること ・悪性の腫瘍であること(良性の腫瘍は対象外)
  • 転移がないこと(広範な全身転移は対象外)
  • 過去に放射線治療を受けたことがないこと(治療を受けた部位と異なるばあいは治療の対象になることがある)

出典:公益財団法人 医用原子力技術研究振興財団「重粒子線治療の対象となる症例」より

いずれの治療法もがん組織に狙い撃ちをするので、不規則に運動する胃や袋状・管状の臓器や白血病、沿革に転移があるなど局所に限定できないがんには不向きです。

また、すでに他の良好な治療法が確率されているがん治療がある場合には適応とされるのは難しいです。

まとめ

陽子線治療・重粒子線治療はがん保険の先進医療特約を付加し、実際に保険給付を受けた場合、特に高額な費用がかかる治療です。

従来の放射線治療と違い、深部のがん組織をピンポイントに破壊し、その他の組織を傷つけることがないことから夢の治療法と言われています。

2つの治療法はほぼ同じですが、重粒子線治療は陽子線治療より破壊力が強く費用もやや高額です。実際に治療を受けた人数や施設数は陽子線治療の方が多いです。

適応可能ながんの種類や条件が細かくあるものの選択肢として知っておきたい治療法です。

がん保険が支払われない5つのケース

  • 執筆者
  • 40代・50代女性のためのお金の相談室
  • FP 三原 由紀

がん保険に加入していれば、がんに罹ったときに保険金の給付があるので安心、だと思っていませんか?

今回は、がんに罹ったけれども、保険金の給付がされないケースについてみていきましょう。

がん保険加入後の「90日ルール」

生命保険の基本は、“申込書”と“健康状態の告知”“初回保険料の払込完了”の3つが揃った時点で保障が始まり、この保障が始まる日を「責任開始日」と言います。

がん保険は特殊で、「90日」の待機期間があり、前述の3つが揃ってから3ヶ月(90日)を経て保障開始となります。

つまり「責任開始日」は91日目になり、それ以前の90日の間にがんと診断されると保険金を受け取ることができないのはもちろんのこと、契約自体が無効になってしまいます。

余談ですが、がん保険の見直しをする場合などは、一時的にダブルの保険料の支払いをすることになりますが、この90日をクリアせずに既契約のがん保険を解約することはリスクが高いので気をつけたいところです。

上皮内新生物の保障は対象内?

がん保険で保障されるがんには、「悪性新生物」と「上皮内新生物」の2種類があります。

多くのがん保険で基本保障されるのが「悪性新生物」です。「上皮内新生物」については、基本保障、基本保障であるものの減額、あるいは特約、など主に3つの保障パターンがあります。

上皮内新生物は、上皮内がん・上皮内腫瘍とも言われる極めて初期のがんであり、切除すれば転移や再発のリスクもほぼないと言われています。

そのため、がん保険では、悪性新生物と分けて考えられることも多く、特にひと昔のがん保険では保障対象外や減額保障のものが多く見られます。

最近のがん保険では、悪性新生物と上皮内新生物は、同額保障のものもありますが、今でも各社さまざまな保障内容なので検討する際は注意が必要です。

また、ひと昔のがん保険に加入している人は、上皮内新生物の保障内容について保険証券を確認しておきましょう。

入院しないともらえない給付金

ひと昔前のがん保険は、「診断給付金」「手術給付金」「入院給付金」の3つが主な保障でした。当時のがん治療は、入院して手術や治療が行われていたので、診断給付金と手術給付金の支払い条件に“がんの治療を目的とした入院”が約款に明記されています。

また、特約として通院給付金を付加した場合も、“所定期間の入院後の通院でなければ給付されない”など支払い条件に入院がありました。

そのため、ひと昔前のがん保険に加入している人は、がんで通院して治療を受けた場合、給付金がもらえない可能性があります。

現在のがん治療は、医療の進歩や診療報酬制度の改定など外部環境の変化もあり、入院から通院へとシフトしています。

また、治療内容も三大療法と言われる手術・化学療法・放射線療法を組み合わせて行っており、一部の手術を除き通院治療が主流です。

それに伴い、がん保険も、診断給付金をメインに放射線療法や抗がん剤療法、通院給付金、などさまざまな保障内容のものが出てきています。

しかし、中には各給付金の支払い条件に依然として“がんの治療を目的とした入院”もあるので、加入の際には注意が必要です。

うっかり、告知義務違反をしていた

がん保険に加入する時には、健康状態の告知が必要です。故意に告知内容を偽った場合はもちろんですが、うっかり告知書に書かなかった場合にも告知義務違反とみなされます。

告知義務違反とみなされると、保険会社は保険契約を解除することができます。

保険契約が解除されると、保険金が支払われない・既に受け取った保険金の返還義務、さらに悪質とみなされた場合には、既払保険料の返還もありません。

ただし、保険契約の締結時に保険会社がその事実を知っていた、など保険会社側にミスがあった場合には解除することができません。

出典:告知書 – オリックス生命保険より

告知内容は保険会社によって異なりますが、例えば過去2年以内、あるいは5年以内に医師の診察・検査・治療・投薬を受けたことがあるか聞かれた場合、病院の領収証などが手元に残っていない場合、正確な日時がわからないこともあるかと思います。

特に検査して医師から問題ないと診断された場合などは忘れてしまっていることもありえます。

告知義務違反が発覚するのは、告知提出時と保険金請求時であると思われます。

故意でなくても告知義務違反とみなされるのは、契約者と保険会社の双方にとって何もメリットはありません。

日頃から医療費の領収証は保管しておく、受診日を記録しておく、または告知内容に不安がある時には保険会社に問い合わせをするなど、留意しておきましょう。

再発時の保障内容はどうなっている?

最近のがん保険は、再発時に備えて診断給付金を複数回、あるいは無制限に受け取れるものも多く見られますが、支払条件に合致しないと受け取れないことがあります。

再発時の各社のがん保険の診断給付金の支払い条件をみてみましょう。

がん保険ビリーブ がん治療給付金 がんの治療を目的として入院を開始されたとき
・支払回数無制限(ただし、2年に1回を限度)
新がんベスト・ゴールドα 悪性新生物診断給付金 前回の支払事由該当日から2年経過後に、診断確定された悪性新生物の治療を目的とした入院をしたとき(入院を継続しているときを含む)、または通院をしたとき
・支払回数無制限
終身ガン治療保険プレミアム ガン診断給付金(特約) 前回のガン診断給付金のお支払い事由に該当した日からその日を含めて2年を経過した日の翌日以後に、ガンの治療を
直接の目的として入院されたとき
・支払回数無制限
ガン保険 ガードエックス 悪性新生物診断給付金(特約) 前回の支払事由に該当された日からその日を含めて2年を経過した日の翌日以降に、診断確定された悪性新生物の治療を目的として入院を開始されたとき
・2年に1回を限度としますが、通算支払限度はありません
アクサダイレクトのがん終身 がん診断給付金 被保険者が、がん給付の責任開始期以後の保険期間中に、所定のがんと診断確定されたとき
・保険期間(更新契約の保険期間を含みます。)を通じて1回のみお支払いします

出典:各保険会社パンフレットを元に筆者が作成

診断給付金の2回目以降の支払条件には、初めて悪性新生物と診断確定されたときから2年経過後や3年経過後など期間の条件や、悪性新生物の治療のために入院・通院したときや入院したときなど状況についても条件があります。

がんと診断確定されただけでは診断給付金の給付がされないものが多いので支払条件には注意が必要です。

まとめ

がん保険の支払われない5つのケースをみると、がん保険の保障開始前にがんに罹ってしまった場合は仕方ないとしても、残りの4つのケースについては事前に注意することで回避が可能です。

上皮内新生物の保障は対象内か、各給付金の支払条件に入院があるのか、告知にあやふやなことはないか、再発時の保障と支払条件はどうなのか?加入する際にはパンフレットだけでなく重要事項説明書で確認しましょう。

既に加入している人は、給付金と支払条件を再確認して思い込みや思い違いがないか確認しておきましょう。

FPが解説!FWD富士生命「がんベスト・ゴールドα」

  • 執筆者
  • 40代・50代女性のためのお金の相談室
  • FP 三原 由紀

がん保険を検討している人にとって、どのがん保険が自分にとっていいのか?悩むことも多いかと思います。

それもそのはずで、各社がん保険の保障内容は微妙に違い単純比較できないことや、医療技術の進歩とともにがんの治療が変化しており、がんの種類や進行度によりオーダーメイド治療になりつつあるので、自分にとって使えるがん保険をどう選べばいいのか分からない、など悩むところではないでしょうか。

そんな中で、がん保険FPガイドの「FPが選ぶおすすめがん保険人気ランキング」で、FWD富士生命「がんベスト・ゴールドα」が3位にランクインしました。

支持されるポイント

「がんベスト・ゴールドα」が、お金の専門家であるFP(ファイナンシャルプランナー)に支持されるポイントをみていきましょう。

シンプルな保障内容

何と言っても主契約が診断給付金のみというシンプルな保障内容が支持されるポイントです。

というのも医療の進歩によりがんの治療法も多様化していることから、がん保険の保障内容も細分化しており、いざという時に余り役に立たない不安要素があります。

特に、昔のがん保険は、入院を支払条件とした診断給付金・手術給付金・入院給付金が主な保障なので、通院を軸とした今のがん治療では使えない保険になっている可能性があります。

つまり将来のがん治療がどうなるのか分からない現時点で、今の治療に則した保障を準備しても将来に向けて不安要素は残るということです。

「がんベスト・ゴールドα」は、がんと確定診断された時点で給付されるので、医療の進歩により治療内容が変化しても給付については左右されない、そんなわかりやすい保障が支持されています。

また、診断給付金以外の充実した保障が欲しい人には、特約でオプション保障を付けることができるので、合理的です。

保障の仕組みをまとめました。

区分 名称 給付金 悪性新生物の給付 上皮内新生物の給付 保障内容
主契約 無解約返戻金型悪性新生物療養保険(2017) 悪性新生物診断給付金 50~300万円
(10万円単位)
■回数無制限(2年に1回)
特則 悪性新生物診断給付金割増給付特則 悪性新生物診断割増給付金 Ⅰ型・Ⅱ型
■回数無制限(2年に1回)
特約 悪性新生物診断給付金特約(2017) 悪性新生物初回診断一時金 50~250万円
(10万円単位)
■1回
上皮内新生物診断給付金特約(2017) 上皮内新生物診断給付金 10~100万円
(10万円単位)
■回数無制限(2年に1回)
がん先進医療特約(2017)
  • がん先進医療給付金
  • がん先進医療一時金
通算2,000万円
※一時金は10%
がん治療給付金特約(2017)
  • 抗がん剤治療給付金
  • がん放射線治療給付金
5〜30万円
(5万円単位)
■回数無制限(同一月に1回)
がん疼痛ケア給付金特約(2017) がん疼痛ケア給付金 5〜30万円
(5万円単位)
■通算12回(同一月に1回)
女性がんケア特約(2017)
  • 女性がん手術給付金
  • 乳房再建術給付金
10〜30万円
(10万円単位)
■片側乳房につき1回など条件有
がん手術特約(2017) がん手術給付金 10〜30万円
(10万円単位)
■回数無制限

出典:FWD富士生命「がんベスト・ゴールドα」を元に筆者が作成

長期治療・再発に対応

初めてがんと診断された時に、基本保障の診断給付金で最大300万円まで、特約を付加できるので、長引く治療でかさむ医療費や治療に伴う交通費やサプリメント代などの購入やがん罹患による一時的収入減に備えることが可能です。

また、診断給付金は2年に1回を無制限に受け取ることが可能なことから治療の長期化や再発した場合に役立ちます。

保険料払込免除が基本保障

初めて悪性新生物と診断確定後の保険料の支払いが免除されます。がんに罹った後に保険料の支払いを続けるのは、心理的な不安や経済的にも負担になることでしょう。

保険料を支払うことなく保障が継続するのであれば、安心して治療に専念することができます。他のがん保険では、保険料払込免除は特約になっているものもあり、基本保障にあるのは心強いです。

特則とは?

気になるのが、前掲の表にある「特則」です。

主契約(または特約)の保障内容をさらに充実させるためのものを「特則」としている場合が多く、契約時にのみ付加、契約途中での付加はできないが外すことはできる特別ルールの保障です。

似ている用語でよく目にする「特約」は、契約の申込時に付加、あるいは契約途中に付加や外すことができるオプションの保障で、特則とは異なります。

特則は、保険商品によって使い方が違うこともあるので、契約のしおりや重要事項説明書などで内容を確認しておきましょう。

悪性新生物診断給付金割増給付特則

「がんベスト・ゴールドα」の悪性新生物診断給付金割増給付特則を付加すると、主契約である悪性新生物診断給付金の2回目以降の受け取りに合わせて悪性新生物診断割増給付金を受け取ることができます。

主契約の給付金額に給付倍率を乗じた以下の2種類があります。

給付倍率の型 給付倍率 悪性新生物診断割増給付金の支払額 悪性新生物診断割増給付金の支払額
悪性新生物診断給付金が200万円の場合 悪性新生物診断給付金が300万円の場合
Ⅰ型 1倍 200万円 300万円
Ⅱ型 2倍 400万円 —(申込不可)

出典:FWD富士生命「がんベスト・ゴールドα」を元に筆者が作成

この特則は、契約時にのみ給付倍率を選択して付加することができます。契約途中での付加や給付倍率の型の変更はできませんが、契約途中で外すことはできます。

がん治療の長期化やそれに伴う生活保障を考えたい人には、まとまった金額を受け取ることができる特則です。

気をつけたいポイント

以上、支持されるポイントや特徴をみてきましたが、次に注意してほしいポイントについてまとめました。

基本保障で上皮内新生物は対象外

上皮内新生物といわれるいわゆる初期のがんについては保障対象外になります。

他のがん保険で、上皮内新生物を基本保障しているものもあるので、上皮内新生物の保障が欲しい人は特約付加が必要となり注意が必要です。

同時に付加できない特則と特約がある

悪性新生物診断給付金割増給付特則と悪性新生物初回診断一時金特約(2017)を同時に付加することはできません。

また、前述の特則が付加されている場合、悪性新生物初回診断一時金特約(2017)を中途付加することはできません。

分かりやすく説明すると、初回の診断給付金額を手厚くするのか、2回目以降の回数無制限(2年に1回)の診断給付金額を手厚くするのか、どちらか選択する必要があります。

オーダーメイド感覚で保障を選べるが、逆に選択に迷うことも

基本保障が診断給付金のみのシンプルさが支持されるポイントであり金額も50万円から300万円まで10万円単位で選択可能なので、ほぼオーダーメイド感覚に近い保障を選択することが可能です。

しかし、何でも選べることは、何をどう選べばいいのか分からない、という逆の面もあります。積極的に選べない人のために3つのプランの用意があります。

  シンプルプラン ベーシックプラン プレミアムプラン
月払保険料(40歳) 男性:2,977円
女性:2,432円
男性:4,070円
女性:3,366円
男性:10,908円
女性:8,808円
悪性新生物診断給付金 100万円 100万円 300万円
悪性新生物診断割増給付金 100万円
(I型)
300万円
(I型)

出典:FWD富士生命「がんベスト・ゴールドα」を元に筆者が作成

筆者としては、上記プランに先進医療特約の付加をおすすめします。

通算2,000万円までの先進医療の技術料を40歳・男女の月額保険料約120円でカバーできるメリットは活用したいところです。

まとめ

「がんベスト・ゴールドα」がFPに支持されるポイントは、基本保障が悪性新生物診断給付金のみというシンプルな保障内容にあります。

また、保険料払込免除が基本保障内であるのも納得できるポイントです。より充実した保障を求める人には、最新のがん治療に則した特約の用意があるので安心です。

どの保障が必要か選択できる人にはオーダーメイド感覚で選べるところもメリットですが、その反面自分で保障を選択できないという人にも3つの保障プランの用意があるので安心できます。

女性特有のがんに備える特約の選び方

がんは年齢を重ねるにつれ、かかるリスクが高く、生涯において、2人に1人がかかると言われています。いわゆる「国民病」、誰でも遭遇する可能性のある病気となっています。

女性特有の部位のがん、乳がんや子宮がんなどがあることは知っているでしょう。

しかし、それに備える保険の保障内容をどう選択すればいいのか迷うことも少なくないと思います。

まずはどのような種類のがんにかかりやすいのか、知ることが必要です。その上で万が一がんになった時に対応できる保障内容、特約の選び方を考えていきましょう。

女性のかかりやすいがんの種類を知ろう

一口にがんと言っても、体の様々な部位のがんがあります。下記の部位別がん粗罹患率推移(1980年~2012年)の表をご覧ください。

粗罹患率とは、一定期間の罹患数(新規に発生した患者数)を単純にその期間の人口で割った罹患率で、年齢の区分けをしていないものです。

 

出典:公益財団法人 がん研究振興財団「がんの統計’16」より部位別がん粗罹患率推移(1980年~2012年)

1980年以降、がんにかかる人が増えており、30年ほどで2倍以上となっています。

これは、食の欧米化や急速な高齢化などが原因といわれています。

がんは、遺伝子が傷つくことによって起こる病気なので、高齢になるほど遺伝子に異常が起きる可能性が高くなる、つまりがんになる確率も高くなるというわけです。

上記の2012年のデータを見ると、女性は、乳がんになる確率が圧倒的に高く、全体の20%を占めています。

次に大腸がん(結腸・直腸)、胃がん、肺がん、子宮がん(子宮体がん・子宮頸がん)と続いています。着目すべきは、女性特有の部位のがんです。

乳がん、子宮がん、卵巣がんを合わせると全体の約30%となります。

ちなみに、がん研究振興財団「がんの統計’16」からそれぞれの発症を年齢別にみると、下記のようになります。

乳がん

30歳代から増え始め、40歳後半から50歳代前半でピークを迎えます。その後は、年齢を重ねるにつれ減少していきます。

子宮がん

子宮頸がんと子宮体がんに分けられます。

子宮頸がんは、20歳代後半~40歳前後まで高くなった後、横ばいになります。近年、20歳代の若い人がかかる割合が増えてきています。

子宮体がんは、40歳代から多くなり、50歳~60歳代の閉経前後で最も多くなっています。

卵巣がん

40歳代から増加を始め、50歳代前半~60歳代前半でピークを迎え、その後は次第に減少します。

年齢別に見ても、女性特有の部位のがんにかかる年齢は幅広く、若年層でもかかるので、注意が必要です。

がんになった場合の家計と就労の関係

もしもがんになった場合、入院費、手術費や治療費などかかります。

それに伴い、仕事を休んだり、辞めざるを得ない状況になる可能性もあります。下表をご覧ください。

 

出典:東京都福祉保健局 「がん患者の就労等に関する実態調査」の結果(概要)

がんにかかった場合、経済的な問題として、個人の収入が減ったと答えた人が56.8%、世帯収入が減ったと回答した人が45.0%おり、入院費、手術費や治療費などにかかる費用が家計を圧迫していることがわかります

生命保険文化センターの就業形態別の本人平均年収から、女性正社員の年収は約399万円、パートタイマーだと約119万円となっています。

仮に治療のため仕事を辞めた場合、これらの収入がなくなり、家計は更に厳しい状況になります。

収入が減ったからといって、治療を諦めるということにならないように、公的保障も利用しながら、保険適用外の先進医療を受ける場合などを想定し、保険で対応できるように備えておく必要があります。

女性特有のがんに備える特約の選び方と入り方

女性保険と呼ばれる女性特有の病気やがんに対応した保障内容の保険があることをご存知の方も多いかと思います。どのような特徴があるのか確認してみましょう。

下記、医療保険+女性特約タイプと女性向け医療保険のタイプの表をご覧ください。

医療保険+女性特約タイプ

  主契約 特約
A社 疾病入院給付金1万円 女性入院給付金5,000円 先進医療特約通算2,000万円まで
B社 疾病入院給付金1万円 女性入院給付金5,000円 女性特定手術特約
乳房観血切除術(乳腺腫瘍摘出術を含む)・子宮全摘手術・卵巣全摘手術1回20万円
乳房再建給付金50万円
先進医療特約通算2,000万円まで

出典:大手保険会社の保険内容を基に作成

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女性向け医療保険タイプ

  保障内容
C社 疾病入院給付金1万円 女性入院給付金5,000円 疾病入院給付金、災害入院給付金1万円 手術給付金 入院中20万円 外来5万円 先進医療特約通算2,000万円まで
D社 疾病入院給付金1万円 女性入院給付金5,000円 手術給付金内容により40万円・20万円・10万円・5万円 生存給付金
3年ごと15万円
退院給付金条件により10万円・5万円
先進医療特約通算2,000万円まで 特定高度障害保険金400万円 災害高度障害保険金500万円 死亡保険金+特約死亡保険金500万円 災害死亡保険金500万円

出典:大手保険会社の保険内容を基に作成

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医療保険+女性特約タイプは、主契約と特約に分かれています。このタイプは、A社のように、主契約が、疾病入院給付金であることが多いです。

疾病入院給付金とは、ケガや病気をして入院をした時に支払われる1日あたり1万円といった給付金です。

特約は追加で付けられる保障内容のことですが、女性入院給付金は女性特有の部位の病気やがんにかかった場合に、疾病入院給付金に5,000円が上乗せされるものです。

B社の特徴は、女性特定手術特約が付帯できることです。

これは、乳房の切除術、子宮・卵巣の全摘手術や乳房再建給付金までの手厚い保障内容となっています。

乳房再建給付金とは、乳がんになり乳房の切除術を受けた時に、乳房の形状などを再建するための手術です。

医療保険には加入しつつも、女性特有の病気やがんが心配な方は、医療保険に女性特約を付加できるタイプがよいでしょう。

次に、女性向け医療保険の説明をしましょう。

これは、医療保険+女性特約タイプの保障を主契約のみで網羅する商品です。C社とD社に共通している保障は、疾病入院給付金、女性入院給付金、手術給付金、先進医療特約です。

この4つの保障は、女性向け医療保険の基本の保障内容と言えるでしょう。

ただ、D社を見ると、上記4つ以外にも特定高度障害保険や死亡保障まで付いており、女性向け以外の保障も充実しています。

1つの保険で様々な保障をカバーしたい方は、D社のような保険も選択肢の一つになると思います。

女性向けの保険や特約に加入するかは、女性のかかりやすいがんの傾向を知り、自身はどこまでの範囲をカバーしたいのかをよく考えることが大事です。

そして、医療保険+女性特約タイプ、あるいは女性向け医療保険タイプにするのか、保険会社によっても保障内容は異なりますので、確認して決めましょう。

女性向けの保険は、妊娠中は加入できないこともありますので、注意が必要です。

20歳代~40歳代の女性は、妊娠・出産に関連した病気、切迫早産や妊娠高血圧症候群、帝王切開をする可能性もあることから、これらの病気にも対応できるか、確認するといいでしょう。

万が一、女性特有のがんにかかったとしても、入院、手術、治療のできる環境を整えておけば、家計について心配せず、安心して病気を治すことに専念できるでしょう。

がん保険は安いもので十分?FPがおすすめするがん保険の入り方

がん保険の保険料は安いものから高いものまで様々です。

家計に負担をかけないようにと、保険料だけで決めても大丈夫でしょうか。

もし、がんになった場合、加入した保険の保険金では足りなかったり、支払われると思っていたのに保険金が出なかったりということでは困ってしまいます。

保険料だけで安易に決めてしまわず、必要な保障内容を確認することが大切です。

今回は、がん保険の保険料と保障内容の関係を考えていきましょう。

20歳代と50歳代では罹患率が違う

まずは、年齢を重ねると、どのような割合でがんになるか調べてみましょう。

下記の表をご覧ください。

がん罹患率~年齢による変化

出典:国立がん研究センター がん情報サービス 年齢階級別罹患率(全部位2013年)

がん罹患率は、男女ともに50歳代くらいから増加していることが分かります。

高齢になるほど高いのが分かるでしょう。30歳代後半から40歳代では、女性が男性よりやや高いですが、60歳代以降は男性が女性よりはるかに高いのも特徴です。

女性の場合は、男性より早めにがんに備える必要があるといえるかもしれません。

また、保険料との関係に関していうと、上記の表から推測できるように、年齢が若い場合はがん罹患率も低く、どの会社でも保険料は安いです。

20歳代など若いときにがん保険に加入する場合と、周りにがんになったという友人が出てくるような年齢、つまり40~50歳になって加入する場合では、毎月支払う保険料に差が出ます。

保険料を下げるための要因の一つが年齢であるのはどの会社においても共通になります。

保険料が高い保険と低い保険を比較しよう

次に、年齢以外に、保険料が影響するものは何でしょうか。

4社のがん保険の保険料と保障内容を比較してみました。下記の表をご覧ください。

保障内容と保険料の比較表

条件:40歳 男性 定額タイプ (保険料払込期間:終身)

  がん診断給付金 回数 上皮内がん 入院給付金 その他 先進医療 保険料
A社 100万円 1回 10万円
診断給付金額の10%
1万円 通院給付金
1万円
手術治療給付金
20万円
放射線治療給付金
20万円
抗がん剤治療給付金
治療を受けた月ごと
10万円 乳がん・前立腺がんのホルモン治療の場合5万円
4,310円
B社 100万円 1回 100万円 1万円 2,550円
C社 100万円 2年に1回
(回数無制限、転移含む)
1万円 1万円(往診含む) 手術により40・20・10万円何度でも 約1000万円まで 4,182円
D社 放射線治療給付金
20万円
抗がん剤・ホルモン剤治療給付金 入院または通院の場合
20万円
1,720円

出典:大手保険会社の保険内容を基に作成

©Ecompany All rights reserved

A社は、保険料は4,310円とやや高めですが、入院給付金に加え、通院給付金、手術治療給付金、放射線治療給付金といった保障がすでに主契約で盛り込まれています。

上皮内がんの場合も診断給付金の額の一部が出ますから、幅広い状況において保険金が出る、手厚い保険といえるでしょう。

同じく4000円台の保険料のC社も、通院給付金や手術給付金が盛り込まれています。

A社ほど様々な幅広い保障ではないのですが、C社の特徴としては、がん診断給付金が1回の支払いのみならず、回数無制限になっています。

2年に1回という条件はありますが、何度でも診断給付金が出る保険です。移転や再発が不安という方には向いている内容です。

一方、2000円台という、保険料が安いB社の保障内容はどうなっているでしょうか。

B社は、診断給付金と入院給付金は支払われるものの、それ以外の給付金は主契約には盛り込まれていません。

診断給付金も1回のみと、シンプルな内容になっています。特徴として上げられるのは、上皮内がんでも、100万円の診断給付金が支払われます。

さらに安いD社は、放射線治療給付金と抗がん剤・ホルモン剤治療給付金のみが主契約です。

特約は自由に付帯でき、合計で月1,500円以上の契約という規定になっています。

主契約のみで、1,500円以上の設定を掲載しましたが、診断給付金などを特約で付加し保障を充実させて、3,000円程度の保険料にすることもできます。

さて、ここまで比較表を紐解いていくと、お分かりになったのではないでしょうか。

保険料とその保障内容はほぼ比例しているということです。

保険料が安くて、誰にとっても十分な保障内容の保険といった万能薬である商品は存在しません。

大切なのは、安い保険で十分と考えるかどうかは、自分の欲しい保障がついているか確認することです。

また、今回の比較は、基本的には主契約の内容と保険料で調査したため、実際は、主契約の保障内容が十分でなくても、特約などで保障を追加することもできることは覚えておきましょう。

保険料と保障を考えるポイント

最後に、がん保険の保険料と保障を考えるときの3つのポイントをお伝えします。

診断給付金の回数

これは保険料に影響するものの一つです。1回のみの給付金でよしとするのか、再発や移転を考えて、無制限のものを選ぶのかを考えましょう。

診断給付金複数回支払特約といった特約をすることによって、無制限にすることができる保険もあります。

診断給付金以外の保障

通院給付金、手術給付金、放射線治療給付金などの保障が付帯されているかによって、保険料の差が開きます。

ひとまず給付金のみがもらえればよいと考えているなら、シンプルな安い保険で十分です。

ただし、実際は、通院が長引く、治療代がかかったときが心配と思う方は、通院したときの給付金、手術したときの給付金、放射線治療をしたときの給付金など、それぞれ保障できる保険を検討しましょう。

上皮内がんは保障されるのか

がんと診断されたら、100万円と思い込んでいたのに、実際は支払われなかったというトラブルで多いのは、上皮内がんのケースです。

ご自身は上皮内がんまでカバーする保険に加入したいというなら、保険料で決めず、上皮内がんが保障されるかどうかもチェックしてみましょう。

保険は、保険料が払えるか払えないかで選択するのではなく、保険の保障内容までを吟味しないといけません。

どの特約をつけるかどうか含めて選択したり、自由設計できる商品もありませうから、保険料のみならず、その保障内容も吟味して加入しましょう。

終身型がん保険とは?メリット・デメリット

  • 執筆者
  • 40代・50代女性のためのお金の相談室
  • FP 三原 由紀

日本人の男女の約2人に1人ががんに罹る時代です。がんに罹る人は増えているものの、死亡率は下がっています。

理由は検診による早期発見や医療技術の進歩等、もはやがんは死の病ではなくなりつつあります。

だからこそ、がんへの備えは大切です。今回は、終身型がん保険について、メリット・デメリットをみていきたいと思います。

がんの罹患数

国立がん研究センター・がん情報サービスのがん罹患数予測によれば、2016年のがん罹患数予測は約101万200例(男性57万6千100例、女性43万4千100例)になります。

この数は、2015年のがん統計予測(98万2千100例)と比較すると、男女計で約2万8千例増加と年々増加傾向にあることが分かります。

がん保険には定期型と終身型の2種類がある

がん保険の種類は大きく分けると2種類あります。保障が一生涯続く「終身型」と5年や10年など一定期間を保障する「定期型」です。

終身型のメリット

終身型のメリットには以下が挙げられます。

  • 一生涯の保障が続く(解約しない限り)
  • 加入した時の保険料が一生涯変わらない
  • 早めに加入するほど、安い保険料で加入できる
  • 加入後がんになったとしても一生涯の保障が確保できる

何と言っても、一生涯の保障が続く安心感は大きいものです。多くの人が終身型を選択するのも納得できます。

終身型のデメリット

終身型のデメリットには以下が挙げられます。

  • 定期型と比べ、加入当初の保険料が高い
  • 寿命は不確定なので、払込方法によってはトータルの支払保険料が高くなる

保険料の払込期間については、終身払いと有期払いがあります。有期払いには、10年や15年、または55歳や60歳などで払済み、などがん保険によって色々な払込方法があるので、わかりくいことや迷う人もいるのではないでしょうか?

保険料の払込方法

先ほどお話したように、払込方法は主に2つに分けられ、「終身払い」と「有期払い」になります。

選択によっては、トータルの払込保険料に数万円から数十万円の差が出ることもあります。

どちらがお得なのか?は寿命に関係するので判断するのは難しいですが、まずは知ってから選択することが大切です。

終身払い

一生涯保険料を払い続ける必要があるので、加入時にトータルの払込保険料を確定することはできませんが、30代など若いうちに加入すれば保険料も安いのでそれほど負担ではないかもしれません。

終身払いへの加入は、定期型の保険料と逆転する40代半ばまでを目安に、検討することをオススメします。

保険料払込免除特約

がん保険によりますが、保険料払込免除特約を付加(基本保障でカバーされる商品もあります)することで、がんと診断確定された場合、以後の保険料の払込が免除となります。

加入して早いうちに万一がんに罹った時には心強い特約になりますので、特約保険料が負担でなければ付加しておくことで一生涯続く保険料払込への不安が軽くなることもあり得ます。

有期払い

老後、収入が少なくなった時に保険料の払込を続けるのを避けたい方には、有期払いという10年や15年、あるいは55歳や60歳で保険料を払済みにする方法があります。

終身払いより保険料は高くなり、万一短命の場合は結局トータルの払込保険料は多くなる可能性もあるのですが、とにかく老後の生活の固定費を軽くしたい、と考える方には安心できる払込方法です。

寿命リスクを今から考えたとしても答えが出るものではありません。自分が今払える保険料や将来のライフプランから、払込方法を決めても良いのではないでしょうか?

また、将来、医療の進歩に伴い、加入しているがん保険の保障内容が古くなり、新しいがん保険に加入し直したい、という可能性もあるので、終身型に加入したら完了、ではなく契約保険会社からの最新の情報もチェックしておきましょう。

男女別・年齢別で考えるとどうなのか?

国立がん研究センター・がん情報サービスのグラフデータを元に筆者シミュレーション

女性と男性を比べると、女性は50代半ばまでは男性よりがんに罹患する確率が高く、その後の罹患率は同じペースで高くなっていきます。

一方男性は、40代までは罹患率が低くその後は罹患率がやや急に高くなるのが分かります。

一度がんに罹ると以後がん保険への加入は難しくなることから、女性は30代、男性は40代のうちに終身型への加入を一度は検討してみましょう。

とりあえず定期型という選択もありますが、万一を考えてシンプルな保障と保険料の終身型への加入も検討したいところです。

特に、一家の大黒柱で家計の収入を支えている人は、早いうちから終身型の加入を検討しましょう。

一家の大黒柱ががんに罹患した場合、治療費はもちろんのこと働きながらの治療継続による収入減少というリスクも考えられますので、家計のリスクをカバーする上でも安心です。

補足として、積立型のがん保険について

終身型のがん保険は主に保険料掛け捨て型ですが、積立型もあります。

積立型は貯蓄性があるので、解約した時に解約返戻金があり、保険料についても一生涯変わりません。

ただし、保険料は掛け捨て型に比べて高く、貯蓄性をがん保険に求める必要を筆者自身感じていないことから積極的に検討をオススメするかは微妙なところです。

まとめ

がん保険の終身型のメリットは、なんといっても一生涯の保障と変わらない保険料です。

払込方法によっては、寿命リスクによるトータルの払込保険料が高くなることも考えられます。しかし、寿命リスクをどんなに想定しても答えが出るものではありません。

一生涯、保険料を払い続けるか?それとも、早めに払込を終えたいか?など将来のライフプランやがん治療に対する考え方などから選択することが大切です。

終身型の加入をオススメするのは、30代の女性、40代の男性、また特に考えていただきたいのが、男女問わず一家の収入を支える大黒柱の方です。

がんに罹ることによる治療費の負担と収入減のリスクをカバーするためにも終身型への加入を早いうちから検討してみましょう。

最後に、終身型に加入したから一生涯安心ではなく、将来、がん治療の変化に伴いがん保険も新しい保障内容の商品が出てくる可能性があります。

いざという時に使える保険ではなかった、ということがないように定期的に保障内容を確認しておきましょう。

定期型がん保険とは?メリット・デメリット

  • 執筆者
  • 40代・50代女性のためのお金の相談室
  • FP 三原 由紀

ひと昔前まではがんは不治の病と恐れられてきましたが、がんによる死亡は1990年代半ばをピークに減少、がんの生存率は1985年以降上昇傾向にあります(国立がん研究センター・がん情報サービス、がん統計年次推移より)。

がん検診の普及による早期発見もあり、がんに罹患する人の数は増えているものの、医療技術の進歩等により、がん=死ではなくなりつつあります。

日本人の約2人に1人ががんに罹る時代において、今回は定期型がん保険について、メリット・デメリットをみていきたいと思います。

最新のがん罹患数は?

引用: 国立がん研究センター・がん情報サービスのがん罹患数予測の最新データで2016年のがん罹患数予測が算出されています。

あくまでも予測となりますが、2016年は約101万200例(男性57万6千100例、女性43万4千100例)、前年度2015年の罹患数予測98万2千100例(引用:2015年のがん統計予測)を約2万8千例上回り、罹患数は増加傾向であることが分かります。

がん保険は大きく分けると2種類

がん保険は、「終身型」と「定期型」の主に2種類に分けることができます。

「終身型」は、一生涯の保障と加入時の年齢から生涯変わらない保険料が特徴です。

「定期型」は5年・10年・15年など一定期間を保障、更新ができて保険料は更新時に上がっていきます。

では、定期型のメリット・デメリットについて見ていきましょう。

メリット

  • 終身型に比べて一定の時期までは割安な保険料である
  • 更新があるので保障内容を定期的に見直しやすい
  • ライフステージに合わせて一時的に保障を付けることができる
  • 定期型であるものの、多くの場合は自動更新できる

特筆すべきメリットとしてお伝えしたいのは、終身型と同保障であっても、30代など若い年齢で加入する場合の保険料が割安なことです。

また、多くの場合、商品によりますが90歳など一定の年齢までは自動更新できます。

総務省の最新の統計データによると平均寿命は、男性が約81歳・女性が約87歳であることを考えると90歳まで更新できるので一定の安心感はあるのではないでしょうか?

デメリット

  • 加入後がんに掛った場合、更新はできるが、他の保険への見直しが難しい可能性がある
  • 保険会社の定める年齢までしか更新できない
  • 更新可能な年齢であっても保険料が高くなり、更新を諦めることになる可能性がある

更新型の場合、加入時と同保障で更新していくと年齢が上がるにつれて保険料が上がり、50代になると一気に保険料が上がります。

また、加入後がんに罹っても更新はできますが、最新の治療に即した新しいがん保険への見直しや更新時に保障を厚くすることは難しくなります。ただし、更新時に同内容であれば保障の継続はできます。

保障を厚くしたい場合には、一定の期間を置いて再発・転移など新たにがんと診断されていない、などの条件をクリアすれば緩和型医療保険にがん特約を付けて加入できる可能性はあります。

また、非常に加入条件が厳しいものの新たにがん保険に加入できる可能性もゼロではないので、選択肢は残されています。

定期型には「定額保障」と「実額補償」がある

がん保険には定額保障のものが多く、一般的にがん保険と聞くと、診断給付金や入院給付金・通院給付金、手術給付金などあらかじめ決まった額(=定額)が支払われるイメージがあることかと思います。

また、商品の数は少ないものの実額補償といわれるものもあります。

実額補償については、余り聞いたことがないかもしれませんが、入院・通院・手術など決まった額ではなくて実際にかかった費用が支払われます。

各商品によって違いはありますが、例えば、以下のような費用の補償があります。

  • 差額ベッド代(限度額あり)
  • 先進医療費用
  • 薬事法承認後、医療機関等で保険診療に用いられる医療用医薬品として告示前の医薬品の使用に要する費用
  • 親族による付添費用
  • ホームヘルパー雇入費用や保育所預入費用
  • 食事療養費
  • 入退院・転院時の交通費
  • 公的医療保険制度を利用して入院した場合に自己負担した治療費。

(AIU保険スーパー上乗せ健保ガン保険、保険金・給付金の概要より)

30代など若い年齢での加入であれば、保険料も低く抑えられているので定額保障だけではなく実額補償を検討してみるのも一考です。

定期型について、男女別や年齢別で考えてみると

国立がん研究センター・がん情報サービスのグラフデータを元に筆者シミュレーション

男女別・年齢別のがん罹患率のデータから、定期型の検討にメリットがある人たちを考えてみました。

女性は、男性と比べてがんに罹患する確率が50代半ばまでは高く、その後はほぼ同ペースで上昇していきます。

男性は、40代まではがんに罹る確率が低いのですが、50代を境に罹患率のカーブが急上昇していきます。

以上から、筆者は、がん保険の加入を迷っている、医療保険は加入しているのでがん保険は特に検討していない、という人についても、がんに罹りやすい年齢の時だけ加入する選択肢を考えていただきたいと思います。

具体的には、女性の30代・40代、男性については保険料が安い40代に加入して保険料と罹患率が上がる50代に備えることを検討していただきたいと考えます。

特に、自分の収入が家計の柱である人には、一定期間だけ、例えばお子さまの教育費や住宅ローンの負担が大きい期間など、ライフプランに合わせて検討されることをオススメします。

なぜかというと、がんに罹るということは、治療費だけでなく、長引く治療継続による収入減少もありえるのです。

筆者は、がんに罹った場合の保障は必要であると考えます。とりあえず定期型に加入してみて、必要性を感じれば、終身型と保険料が逆転するまでに終身型に加入する方法もあります。

まとめ

がん保険の定期型のメリットは、なんといっても、30代・40代半ばまでは低く抑えられている保険料にあります。

がん保険が必要かどうか迷っている場合、まずは定期型に加入して様子をみるのも一考です。特に女性は30代・40代でがんに罹る確率が男性よりも高いので、早めに検討しましょう。

また、自分の収入が家計の柱である人は、がんに罹った場合家計はどうなるのか?をシミュレーションしてがん保険が必要かどうかを改めて考えていただきたいです。

がんの治療費負担は貯金で補えるとしても、万一治療が長引いた場合の収入減少は不安が残ります。それをカバーできる対策を準備できているのか?合わせて考えていただきたいところです。

最後に、定期型は、将来、がん治療の変化により新しい保障内容のがん保険が出てきた時に見直しをしやすいのがメリットでもあるので、更新時には最新情報も含めて保障内容を見直しておきましょう。

FPが20代の人におすすめするがん保険の選び方

20代といえば、社会人になって少しずつ仕事にも慣れてきた頃でしょうか。

体力もあるので、仕事や遊びで多少無理をしても回復が早く、体のことを気にすることも少ないこともあり、大きな病気やがんになった時の備えを後回しになることもあるでしょう。

しかし、万が一のことを考え、備えることは必要です。

では、どのように備えるといいのか、よくわからない方もいるので、まずは年齢が若くてもかかりやすい病気やがんがあるのかを知ること。そして、かかる可能性のあるがんに備え、がん保険をどう選べばいいのか考えていきましょう。

20~30代男女別がかかりやすい病気やがんと入院日数

では、厚生労働省の平成26年患者調査から20~30代にかかりやすい病気とがんについて、男女別にみていきましょう。

また、がんになった場合、どのくらいの入院日数になるのか現状を知り、備えることができるので、まずは確認が必要です。

男性の場合

不規則な生活習慣の影響によって、20代後半から糖尿病にかかりやすくなっています。また、30代後半にかけて高血圧性疾患、胃がんや大腸がんにかかりやすくなります。

がんで見た場合、胃がんの入院日数の目安は、約19日間。大腸がんの場合、約18日間と共に2週間以上になることがわかります。

女性の場合

20代後半から30代は、女性特有の部位に関する子宮頸がんや妊娠・分娩に伴う病気、妊娠中毒症になどにかかりやすくなります。

そして、甲状腺障害の一つであるバセドウ病や橋本病にかかる可能性が高くなります。ある歌手がバセドウ病にかかっていることを公表したので、耳にしたことがあるのではないでしょうか。

子宮頸がんの入院日数の目安は、進行の程度や手術方法によって入院期間は異なりますが、1日~2週間前後となっています。

参照 平成26年患者調査 62 総患者数,性・年齢階級 × 傷病分類別

食生活から生じる病気を知って、がん保険の加入の仕方を考える

病気になったり、がんにかかるのは、遺伝的な影響も考えられますが、やはり普段の食生活や習慣によって、今の体が作られているので、食生活から生じる病気を知ることも大切です。

下記の図表をご覧ください。

 

出典 平成 27 年 国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省)

こちらは、外食を利用している頻度を表している図表ですが、年齢階級別にみると20代が男女ともに高い頻度で外食していることがわかります。

特に男性の20代は最低でも週1回外食しているのが60%以上、女性でも半数近くが日常的に外食しており、バランスのとれた食事をしているのか気になるところです。

国立がん研究センターがん情報サービスでも、食生活とがんの関わりに注目しています。

例えば、20~30代男性がかかりやすい胃がんや大腸がん、そして、同じく20~30代女性がかかりやすい子宮頸がんは食生活とどのような関係があるのでしょうか。

胃がん

塩分の摂取量、特に高塩分食品の摂取量の高さと関係があります。

塩蔵した魚や漬け物など塩分濃度が高い食品は胃の粘膜を傷つけたり、炎症を起こすなど、発がんを促進するものと考えられており、胃がんの発生を高める原因と言われています。

大腸がん

近年の食生活の欧米化により、日本人の罹患率が高まってきています。肉や油などの摂取量の多い人にリスクが高く、高カロリー・高たんぱくの食事を取ると、便が大腸にとどまる時間が長くなります。

同時に、便に含まれる発がん性物質も長い時間とどまり、がんが発生しやすくなると言われています。また、肥満やアルコールの摂取も、大腸がんのリスクをアップさせ、影響が大きいです。

子宮頸がん

子宮頸がんに関しては、発がんを促進する特定の食品はありませんが、子宮頸がんにかかる原因はヒトパピローマウイルスというウイルスです。

免疫力が高いとヒトパピローマウイルスをやっつけることができるので、その免疫力を高めるために、バランスのいい食事をとることが重要です。

また、喫煙は胃がん、子宮頸がんにかかるリスクを高める原因であることも多くの研究で指摘されています。

20代でがん保険に備える必要性

それでは、20~30代でかかりやすいがんの状況を踏まえた上で、がん保険にどのような保障をつけるといいのか考えていきましょう。

20代で友人が子宮頸がんになり、自分もかかるのではと心配され、がん保険の加入を検討する方がいらっしゃいます。その際には、まずは、万が一がんにかかったことを考え、保険に加入することが重要なこととお話しています。

20代は急な病気などに対応できるほど、貯金が出来ていない方がほとんどなので、保険で備えることがポイントです。

年齢が若いと、保険料を低くおさえられることも大きなメリットです。大手保険会社で男性25歳、35歳、45歳の月々の保険料を比較してみました。

下記の図表をご覧ください。

  終身払いタイプ 60歳払済タイプ
25歳 1,679円 2,474円
35歳 2,414円 3,819円
45歳 3,724円 7,184円

大手保険会社のがん保険シミュレーションを基に作成

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シミュレーションの条件として、基本保障として、入院日額給付金は1万円、がん診断給付金は100万円とし、特約として先進医療を付加しています。

やはり、20代で加入したほうが、保険料はぐっとおさえられます。さらに60歳払済タイプにすると、老後の支払いが楽になる設計ができます。

まとめ

20代でがん保険に加入する時は、シンプルに「入院給付金」「がん診断給付金」「先進医療特約」の3つの保障をおさえておくといいでしょう。

がんの治療で入院した場合、1日あたりに受取れる「入院給付金」は、入院期間が長引いた場合でも対応できます。がんと診断された場合に受取れる「がん診断給付金」は、使い方は自由なので、入院前の検査や交通費に充てられるので助かります。

数百円で加入できる先進医療保障(厚生労働大臣が定めた先進性の高い医療技術)を付加することで保険適用外の治療を選択できるようになります。

例えば、退院後に受取れる療養給付金など手厚い保障を付けたくなった場合は、あとで追加することもできるので、20代はシンプルな保障内容でまずは加入すること。

万が一の時に備えられる状態にした方がいいでしょう。

FPが教える!がん保険の掛け捨て型と貯蓄型の正しい選び方

「掛け捨ての保険はもったいない!」と思っている方がご相談者の中にも私の周囲にも結構な割合でいらっしゃいます。

たくさんの種類の保険がありますが、「がん保険」にはどのように加入するのが賢いのでしょうか。考え方を整理してみます。

保険の種類と特徴

以前のコラムにも書きましたが、生命保険にも医療保険にもがん保険にも保障の期間で分類すると「終身型」「定期型」の2種類があります。

下記の図表をご覧ください。

掛け捨て型 貯蓄型
終身型 定期型  
保障期間 一生涯 一定の期間(保障を維持するなら更新が必要) 一生涯
保険料 貯蓄型より低い、加入期間中は一定 若い時は安いが、更新のたびに高くなる 掛け捨て終身型より高い、加入期間中は一定
解約返戻金 ない(もしくは少ない) ない ある(返戻率は会社により異なる)

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「終身」とは一生涯という意味で、加入すると解約しない限りは一生涯の保障を得ることができます。保険料は加入期間中一定です。

一方、定期型保険は10年とか20年といった「ある一定の期間を保障する」保険で、その期間内に亡くなったり、病気やがんで入院したり治療したりした場合にだけ保険金が受け取れます。

いわゆる「掛け捨て」タイプの保険で、同じ保障を得るために必要な保険料は終身保険に比べて大幅に安くなります。

ただし、更新のたびにそのときの年齢で保険料が再計算されるため、高齢になるにつれて保険料は上がっていきます。

「医療保険」「がん保険」に限って言うと、大きく分けて3つのタイプに分けられます。終身型でも解約返戻金がない(もしくは少ない)掛け捨てタイプがあるのが特徴です。

では、どのタイプの「がん保険」に入るのが賢いのでしょうか。

何のために「がん保険」に入るのか

いまや2人に1人ががんにかかるといわれ、日本人の死亡原因の1位であることはご存知のとおりです。その「がん」も医療技術の向上から、必ずしも治らない病気ではなくなってきています。

ただし、「がん」にかかってしまったという精神的ダメージに加え、治療のために入院や長期の通院治療が余儀なくされ、治療法や薬に健康保険がきかないものもあることから、経済的に大きな負担になるのは事実です。

先進医療である陽子線治療や重粒子線治療などを受けると入院日数は10日程度でも平均300万円程度の費用がかかります。

がんにかかったときの治療費の自己負担額を平均すると、部位にもよりますが30~50万円が多いようです。

また、働くことが困難になって収入が減少し、家計に影響することも考えられます。特に住宅ローンを抱え、お子さんが高校・大学など教育費のかかる時期に一家の大黒柱ががんに罹患してしまったという場合、ご本人はもちろんご家族にとっても精神的にも経済的にもダメージは大きくなります。

これらを考慮すると、「がん保険」に加入する目的は”収入減少などのリスクを少しでも軽減し、高額になることが予想される「治療費」を準備する”ことではないでしょうか。

少なくとも、「解約を前提にして貯蓄をすること」が目的ではないはずです。

注意したいのは、貯蓄型のがん保険は解約すれば解約返戻金は戻ってきますが、それ以降の保障はなくなってしまいます。

解約後に万が一、がんになってしまっても診断給付金などの保障は得られません(終身型の意味がありません)。

支払った保険料以上の返戻金が戻ってくることはありません(貯蓄性のある商品としてはそれほど魅力的ではありません)。

冷静に考えると、「がん保険」にはがんになったときの保障をなるべく低いコストで求め、貯蓄をしたいなら「貯蓄型」と「掛け捨て型」の保険料の差額を別の方法で貯めるほうが効果的であるということがわかるはずです。

「保険」は目的別に加入すること

上に述べたように、「保険」は「何を目的に加入するのか」を明確にすることが大切です。

教育費を準備するための「学資(子ども)保険」や老後資金のための「個人年金保険」などは貯蓄が目的ですから、満期時にどれだけ戻ってくるかの返戻率の高さを比較検討することが大切です。

もちろん、保険に頼らず他の金融商品も選択肢にあがります。

一方で、「がん保険」や「医療保険」など病気になったときの入院や手術、高額な治療などの経済的リスクに備えることが目的なら、そこに貯蓄性は必要ないと私は考えます。

何を目的に保険に入るのかを考えれば、おのずと「掛け捨て型」がいいか「貯蓄型」がいいか、見えてきますね。

実際、最近では「貯蓄型」の「がん保険」を取り扱っている保険会社はほとんどありません。ただし、だいぶ昔に加入した方は保険証券をよく見直してみることをお勧めします。

解約返戻金付タイプのもので、入院給付金や手術給付金がメインで今の時代の治療法(抗がん剤治療や放射線治療など通院による治療、先進医療によるものなど)にそぐわないものになっている可能性があるかと思います。

終身型と定期型はどちらがいいの?

それでは、掛け捨ての「がん保険」に加入するなら、終身型と定期型どちらがいいのでしょうか?35歳男性が同条件で加入する場合の保険料を比較してみます。

下記の図表をご覧ください。

加入条件

診断給付金100万円(保険期間中1回のみ)

入院給付金1万円/日(日数無制限)

退院後療養給付金10万円/回(再発後の再入院などの場合、制限あり)

手術給付金10万円/回(回数無制限。ただし上皮内新生物の場合は1回のみ)

先進医療給付金500万円

  終身型保険料 定期(10年)型保険料
35歳時加入 2,660円 1,110円
45歳時 2,660円 1,740円
55歳時 2,660円 3,380円
65歳時 2,660円 5,940円

A社保険料シミュレーションサイトを基に作成

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終身型保険料は35歳に加入したときの保険料で変わらず保障が続きますが、定期型は当初の保険料は安いものの10年の更新ごとに保険料はアップし50歳を超えるころには終身型より高くなります。それはなぜなのでしょうか。

がん罹患率~年齢による変化

出典:地域がん登録全国推計によるがん罹患データ

資料からわかるように、男女とも50歳代くらいから罹患率が増加し、高齢になるほど高くなります。

若いころにはそれほど必要性を感じない「がん保険」もいざ歳をとって加入しようと思ったときには保険料も高くなっているんですね。

また、定期型の場合は加入できる年齢や保障される年齢に制限が設けられています。本当に必要となったときに加入できない、利用できない、といった可能性もあるのです。

まとめ

結論として、

  • 「がん保険」に貯蓄性は求めない。
  • 本当に必要な保障を見極め、保険料の比較をして加入する。
  • できるなら保険料の安いうちに「終身型」への加入を(ただし、がんの治療技術は日々進化していてそれに対応する新たな保険も次々と販売されるので、加入中の保険の保障内容をチェックするなど、臨機応変な対応をとること)。

に尽きると思います。

それよりも一番大切なのは、ずっと健康でいられるように食生活や運動など生活習慣に気をつけて病気にならないよう心がけることですね。

FPが40代の人におすすめするがん保険の選び

40代は、仕事で責任が重くなり、家庭では、住宅ローンや子どもの教育費など支出の波がどっと押し寄せる時期です。

同時に、少しずつ病気にかかるリスクも高まってくるので、大きな病気やがんになった時のために備える必要があります。

特に40代から男女ともに、がんになる確率が高くなってくるため、40代で加入する方には、どのように選ぶとよいか考えてみましょう。

がん危険信号の40代

がんは日本人の国民病といっても過言ではないほど病気です。

年齢によってがんの罹患率がどう変化しているか、そして、どのような種類のがんにかかっているか、下記、年齢階級別がんの罹患率のグラフをご覧ください。

出典:国立がん研究センター がん情報サービス

男性は、40代から少しずつがんにかかる確率が高くなってきているのが分かります。女性は、30代後半から徐々に罹患率が高くなり、40代後半には男性よりも高い値を示しています。40代はがんの危険信号と言ってもいいでしょう。

次に、体のどの部位ががんにかかりやすいのか、見てみましょう。

下記の図表をご覧ください。

 

出典:国立がん研究センター がん情報サービス

これは、年齢部位別がん罹患数の男女別の割合を表しています。

男性の40代前半では、胃がんになる確率が高くなってきており、50代後半にはピークを迎えます。

また大腸がん(結腸・直腸)になる確率も高く、40代以上で胃、大腸、肝臓などの消化器系のがんが5~6割を占めています。

女性の40代は、乳がんになる確率が圧倒的に高く、次に子宮がんと女性特有の部位のがんになりやすいことがわかります。

年を重ねていくと、消化器系(胃、大腸、肝臓など)と肺がんの割合が大きく、この傾向は男女共通しています。

がんにかかる費用は?

それでは、がんになった場合にどのくらい費用がかかるのか、40代の女性が一番かかる確率の高い乳がんのケースを例に、初期の治療法とその費用について見ていきましょう。

下記の図表をご覧ください。

  手術 放射線療法 ホルモン療法 抗がん剤療法
乳がん 内容・総額 温存手術入院(7日間)約75万円 温存手術後25回照射の場合
約47万円~70万円
閉経前(12週ごと1年間)
約29万円
AC療法(乳がんの代表的な抗がん剤治療:3週ごと4回)約13万円
自己負担額 約23万円 約14万円~21万円 約8.8万円 約4万円
内容・総額 乳房切除術入院(14日間)
約100万円
閉経後(1年間内服)
約18万円
自己負担額 約30万円 約5.4万円

※自己負担額は、3割負担の金額

出典:日本乳癌学会 患者さんのための乳がん診療ガイドラインを基に作成

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一口に乳がんの治療といっても、様々なものがあります。

手術としては、乳房の温存手術、切除手術、また、手術の際にがんを取り除くだけでなく、がんの周辺にあるリンパ節を切除する手術、乳房再建の手術などがあります。

手術後の治療として、放射線療法の場合、週5日6週間ほど行います。ホルモン療法は、閉経前と閉経後では治療に使う薬剤が異なり、その投与期間は2~10年くらいに及ぶケースもあると言われています。

そして、抗がん剤療法は、代表的な治療法はAC療法ですが、使用する抗がん剤によっても治療期間や費用が異なります。

こういった手術や治療は、症状や内容によって組み合わせや順番も変わりますので、治療のための費用は余裕を持ったほうがよいといえます。

そして、実際にがんになったときに、費用面で躊躇することなく選択ができるために、がん保険の必要性を感じられる方もいるでしょう。

とはいえ、すべてがん保険で賄うわけではなく、医療費の負担を軽減する国の保障制度があります。次に公的な医療保障制度をご紹介いたしましょう。

公的な保障制度とは

下記の図表をご覧ください。

種類 内容
傷病手当金 病気やケガで仕事を休んで給料が出ない、または減額された際に一定の範囲内の生活を保障するための制度。受取り額は、休んだ1日に対し、日給(健康保険による標準報酬日額)の3分の2相当額。
障害年金 国民年金の加入者 病気やケガで、法令で定められた障害等級表(1級・2級)で障害の状態の時、障害基礎年金が受取れる。
厚生年金の加入者 初診日のある病気やケガで障害基礎年金の1級または2級に該当する障害の状態になった時、障害基礎年金と障害厚生年金の両方受取れる。
高額療養費 医療機関などの窓口支払額が、1か月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた分の金額が受取れる制度。

出典:日本年金機構 厚生労働省保健局を基に作成

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傷病手当金とは、病気やケガを理由に会社を3日以上続けて休み、その間給料が支給されない場合に、4日目から最長1年6ヵ月間保障される制度です。

受取り額は、休んだ1日に対し、日給(健康保険による標準報酬日額)の3分の2相当額です。自営業など国民年金の方は対象外となっており、受取ることができませんが、会社員の方には有難い制度になります。

また、障害年金といわれるものもあります。障害基礎年金と障害厚生年金の2種類あり、病気やケガで、障害の状態にある時に受取ることができる年金です。

がんによって身体機能が著しく低下した場合にも給付される可能性がありますので、覚えておきましょう。会社員の方は障害基礎年金に上乗せして、障害厚生年金を受け取ることができます。

また、最も利用する確率が高いのは、高額療養費制度といわれるものです。

医療機関などで支払った3割負担額が、1か月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額が返ってくる制度です。

自己負担額は、年齢・収入によって異なります。目安にはなりますが、たとえば年収約370~約770万円の方なら、1か月約9万円程度の自己負担額になります。

このように、高額な治療が続いても、自己負担の金額には上限が設けられています。

まとめ

公的な保障制度を賢く利用することは大切ですが、それだけではカバーできないケースが多いです。

また、がんになる確率が高まる40代は、子育て中などで貯蓄が目減りすると不安な世代でもあります。

その場合は、がん保険の加入を検討しましょう。特に自営業の方は、傷病手当等がありませんから、民間の保険での備えが必要です。

40代の方が、がん保険を検討される際は、診断給付金、通院給付金、先進医療特約の3つがポイントとして加入しましょう。

診断給付金

「診断給付金」とは、がんと診断されたに受け取ることができるお金です。診断された時点で受け取れるため、これからどんな治療が始まっても使用できる心強いお金になります。

高額療養費の自己負担額にも使用できます。

通院給付金

「通院給付金」とは、がんで通院したときに受け取ることができるものです。乳がんの例などを見たときに、通院が長引く治療があることが知ったことでしょう。

通院が長引くと、治療費の出費に加え、交通費など諸々の出費が重なります。通院日数に応じた給付金が支払われる「通院給付金」の付帯は検討しましょう。

先進医療特約

「先進医療」とは何かというと、厚生労働大臣が定める高度な医療技術を用いた治療のことで、先進医療の治療は全額自己負担になります。

その金額は数百万円~2000万円ほどの高額の治療のものがあります。保険とは、そもそも、自分の貯蓄等で支払うことが難しい大きな金額の支払いに充当させるしくみです。がん保険には必ず付帯しましょう。