がん保険では未承認薬の使用にも保険がおりる?

  • 執筆者
  • 40代・50代女性のためのお金の相談室
  • FP 三原 由紀

がんの三大治療の一つ、抗がん剤治療に使われる薬剤に未承認薬があります。

日頃あまり耳にすることのない未承認薬を使用した場合に公的医療保険は使えるのか、また、がん保険でカバーされるのかお話しします。

未承認薬とは?

未承認薬とは、現時点では効果や安全性において確認が取れていない薬剤のことをいいます。

国立がん研究センターがん情報サービスが作成した冊子「もしも、がんが再発したら」によると、未承認薬は以下の3種類に分けられます。

  • 1.世界中のどの国でも承認されていない開発途上にある医薬品の候補であり、人を対象とした臨床試験や基礎研究が十分に行われていないもの
  • 2.欧米などの海外で承認されているが日本では薬事法上の承認がないもの(『未承認薬』と呼ばれるもの)
  • 3.日本で薬事法上の承認を得て流通しているものの、疾患によっては治療に使えないもの(『適応外薬』と呼ばれるもの)

今回お話しする未承認薬は2と3があてはまります。

なぜ未承認薬が存在するの?

日本製薬工業協会によると、国内外の製薬企業が新しく開発した医薬品の中には、アメリカやヨーロッバで承認を受けて販売され、その後さまざまな手順を踏み日本国内での販売に至るものがあります。

さまざまな手順が生じる理由として、外国と日本では人種、環境、疾患発生率、治療方法などが異なることから、日本人の治療状況に合わせて臨床試験を行い安全性と有効性を確認する必要があることがあげられます。

これらの確認作業を経て初めて日本の国内で承認された医薬品となり、承認されるまでは未承認薬と呼ばれることになります。

未承認薬の現状

未承認薬の現状

引用元:国立がん研究センター 「国内で薬事法上未承認・適応外である医薬品・適応のリスト」(2017/7/3時点のデータ)(承認年月日順)

2017年7月に国立がん研究センターが発表したリストには、アメリカあるいはヨーロッパで承認されており、日本で未承認の抗がん剤86剤が掲載されています。

その内訳は、多い順に挙げると血液領域36剤、泌尿器科領域14剤、皮膚科領域9剤、肺がん8剤、乳がん5剤、卵巣がん4剤、骨軟部腫瘍(肉腫)3剤などです。

また、治療した場合の薬剤費は、金額が判明している薬剤で1ヶ月あたり49,200円から7,890,159円になり、治療全コースの費用になると最高1,900万円かかる抗がん剤もあります。

これら未承認の薬には、未承認薬と適応外薬が含まれています。

未承認薬が多いがんの種類

前述のリストと国立がん研究センターが公開している2000年以降のデータを合わせて見たところ、未承認薬にみられるがん領域については、以下領域のがんが多くみられます。

  • 血液領域
  • 泌尿器科領域

未承認薬は公的医療保険の対象なの?

 未承認薬・適応外薬は公的医療保険では承認されていない薬剤です。そのためこれらを使用して治療を行う場合は自由診療となり、全額自己負担となります。

平成28年に新たにスタートした患者申出療養制度を利用すると、一定のルールの元において保険診療との併用を認められることになりましたが、保険診療になるのは一般保険診療と共通する部分(診察・検査・投薬・入院料等)の費用で、未承認薬は保険適用されません。

高価な薬剤を使用した場合、金銭的に負担が大きくなることに違いはありません。

がん保険でカバーできるの?

未承認薬を使用したがん治療は、がん保険でカバーできます。通常のがん保険は定額保障となり、主に以下のような保障があります。

支払い事由 支払い限度 保険金額
診断給付金 回数無制限
2年に1回を限度
100万円
放射線治療給付金 回数無制限 月10万円
抗がん剤・ホルモン剤治療給付金 回数無制限 月10万円
先進医療給付金 通算2,000万円まで保障 先進医療にかかわる
技術料

※各がん保険の資料を元に筆者が作成

前述の未承認薬の薬剤費をみると、1ヶ月あたり49,200円から7,890,159円と金額に幅があり、高価な薬剤を使用する場合、上の表の抗がん剤治療給付金の月10万円の保障では厳しい可能性もあります。

次にお話しするがん保険の「実費補償タイプ」は、高価な薬剤を使用し自由診療を行なった際の治療費をカバーすることができます。

現在、実費補償のがん保険は2商品と少ないものの補償は以下になります。

  A社 B社
保険期間 5年間(契約年齢90歳まで自動更新)
診断一時金 100万円(3年に1回限度で回数無制限) オプション保障で100万円(最後の診断確定から2年経過後)
入院保障 無制限に補償(直接治療に関係しないものは対象外)
通院保障 1,000万円まで補償・5年ごとに保障限度額が1,000万円に復元
自由診療時の要件
  • 通院・入院する医療機関がA社指定の協定病院、がん診察拠点病院、大学附属病院などであること
  • 治療内容に健康保険など(公的医療保険)の給付対象とならないがんの診療が含まれていること
以下に該当する治療に限る

  • 公的医療保険の対象となる診療
  • 先進医療に該当する診療
  • 米国国立がん研究所(NCI)のガイドラインに定める診療
  • National Comprehensive Cancer Network(NCCN)のガイドラインに定める診療
  • 癌専門委員会(第三者の医療専門家により構成されるがん治療の有効性を評価するための委員会)において有効と判断された診療
月額保険料 40歳男性(1,930円)
40歳女性(3,350円)
40歳男性(1,600円)
40歳女性(2,730円)
※診断一時金100万円有りの場合

※セコム損保「メディコム」・SBI損保「がん保険自由診療タイプ」を参考に筆者作成

入院治療では治療費の無制限補償があり、多くの抗がん剤治療が行われる通院での治療費は契約期間である5年ごとに1,000万円までの補償があるのが特長です。

ただし、5年間の定期保険で自動更新できるものの、保険料は5年毎に上がるので50歳を過ぎてからの加入や更新は高額になります。

万一がんに罹った時に自由診療を含めどういう治療を受けたいのか、日頃から想定しておきたいところです。

未承認薬の治療費例

SBI損保の調査によると、未承認薬の抗がん剤治療の自己負担額として大腸がん約360万円、乳がん約867万円の保険金支払い例があります。

セコム損保によると適応外抗がん剤を使用して11ヶ月間の脳腫瘍治療を行い約530万円の保険金支払いをしています。いずれの場合も高額な治療費がかかっていることがわかります。

未承認薬の治療を受けるには治験という方法もある

未承認薬の治療に高額な費用がかかることがわかりましたが、自由診療以外に治験という方法があります。

治験は、臨床試験の一種です。臨床試験とは、効果があると期待される新しい薬や手術・診断方法などを用いて新しい治療を行い、それらの効果や安全性を確認するために行われるものです。

そして臨床試験の中でも、厚生労働省から新薬として承認を得ることを目的としたものを治験と言います。

治験を行うには患者の協力が必要なので、そこに参加するということです。治験参加中の治験薬剤代や検査費用は製薬会社などの治験依頼者が負担することも多いため費用負担を軽減できるメリットがあります。

デメリットとしては、予期せぬ健康被害などが考えられますが、それに対する補償制度もあります。

いずれにしても治験に参加する際には、医師や家族ともよく相談してメリット・デメリットを考えて検討することが重要です。

参考:がん治験(臨床試験)のきほん

まとめ

未承認薬を使用したがん治療は、公的医療保険は適用されないもののがん保険では補償されます。

ただし、未承認薬の薬剤費が高価な場合、通常のがん保険に多い定額保障タイプで治療費をカバーするのは厳しい可能性があります。

その際、自由診療に対応した実費補償タイプのがん保険でカバーすることが可能であり、現在2つの商品があります。

特徴としては5年の定期保険で自動更新となり5年ごとに保険料が上がっていくことと、自由診療を受ける際の要件が各商品で異なるので加入する前によく確認しておきましょう。

1位 チューリッヒ生命

当サイトランキング1位はチューリッヒ生命(終身ガン治療保険プレミアム)です。最近のがん治療は通院治療が主流になってきている中、通院保障のみを主契約にしたことで治療法の変化に対応しながらも保険料の安さも両立させました。


資料請求

2位 オリックス生命

当サイトランキング2位はオリックス生命(Believe ビリーブ)です。入院するたびにおりる治療給付金や、特約はがん先進医療特約とがん通院給付金の2つのシンプル設計もわかりやすくて好評です。


資料請求