がん保険の先進医療特約が生きる陽子線治療・重粒子線治療とは

  • 執筆者
  • 40代・50代女性のためのお金の相談室
  • FP 三原 由紀

がん保険に加入している、あるいは加入を検討している場合、先進医療特約を付加している、あるいは付加したい人が多いのではないでしょうか?

月額約100円の割安な特約保険料で高額な治療費をカバーできることからとりあえず付加している方も多いことでしょう。

今回は、がんの先進医療の中でも特に高額な陽子線治療と重粒子線治療について詳しくお話しします。

がんの三大治療と陽子線治療・重粒子線治療

現在、がんの治療は、放射線療法・化学療法・手術の三大治療が基本で、いわゆる「標準治療」といわれ、この3つの療法を組み合わせた治療が行われています。

複数の治療法を併用することで治療効果を高め、体への負担を軽減することが期待されています。がんの種類や病期(ステージI~Ⅳ)によって、がん治療は多様化しており、今やがん治療はオーダーメイド治療の時代です。

三大治療の主な療法を簡単に図にしてみました。重粒子線治療と陽子線治療は放射線療法に含まれます。

従来、放射線療法で使われているX線は電磁波の一種であり、重粒子線や陽子線は粒子線です。

X線は体の表面近くで多くの放射線が照射され、体の中を進んでいくうちに効果が低下するので、体の奥にあるがんを治療するのが得意ではありません。

一方、粒子線は体の奥深くで照射量が最大になる特徴があるので、体の表面にある正常な組織へのダメージを抑え、体の奥にあるがん組織を破壊することができます。

各種放射線の線量分布(生体内)


出典:独立行政法人放射線医学総合研究所

上の図からわかるように、X線は体の表面から2センチ以内で照射量が最大になり、陽子線・重粒子線は体の深部8~12センチで照射量が最大になります。

陽子線治療・重粒子線治療の特徴

  • 痛みを伴わない
  • 臓器の機能や体の形態の欠損が少い
  • 容姿、容貌を損なわず、傷跡も残らない
  • 高齢者にも適用できる
  • 副作用が少ない
  • 早期なら根治可能
  • X線では治療困難な、深部がんにも向く
  • 社会復帰までの期間が短い

出典:公益財団法人 医用原子力技術研究振興財団「粒子線治療の特徴」より

陽子線治療・重粒子線治療を含む粒子線治療は、外科的治療と異なり、痛みがほとんどないことなどから夢の治療法とも言われています。

これらの特徴から生活の質(QOL)を高く保つことも期待されます。

陽子線治療と重粒子線治療の違い

陽子線治療と重粒子線治療はいずれも粒子線治療の一種ですが、それぞれの特徴をみてみましょう。

  陽子線治療 重粒子線治療
線量の集中性 良好 良好・陽子線よりも鋭い
※ピーク以降は陽子線より鈍い
照射角度 360度
(回転ガントリー)
縦・横・斜めの3方向
→360度(回転ガントリー)移行予定
生物学的効果比 X線の1.1倍 X線の2~3倍
治療期間 短期(8~38回) 陽子線よりも短期
過去の治療者数(世界) 約12万人 約2万人
稼働中の施設(世界) 50施設以上 9施設

稼働中の施設(日本国内 平成29年6月現在)

12施設 5施設
治療費
(平成27年7月1日~平成28年6月30日実績の平均費用)
約276万円 約309万円

出典:一般財団法人メディポリス医学研究財団「重粒子線治療との違い」・公益財団法人 医用原子力技術研究振興財団「日本の粒子線治療施設の紹介」・厚生労働省「平成28年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」を元に筆者が作成

上の表からわかるのが、重粒子線治療は陽子線治療と比べ、ピンポイントの照射が可能、破壊力が大きいことです。

そのため、照射回数が陽子線治療より少なくて済み、治療期間も短くなります。治療費は、重粒子線治療の方が陽子線治療より約30万円ほど高くなっています。

世界規模で見ると、1954年から現在に至るまで重粒子線治療を受けた人数は陽子線治療を受けた人数の6分の1と少なく、施設数も陽子線治療より少ないです。

なお、重粒子線治療に関しては世界9施設のうち日本に5施設あることから、日本の重粒子線治療は世界でも最高レベルと言えます。

陽子線治療・重粒子線治療に適したがんの種類について

陽子線治療や重粒子線治療はすべてのがんに適した治療法ではありません。

先進医療ということは、公的医療制度の給付対象になる前段階という要素を含んでいます。

ですから適応になるかどうかは、患者本人が希望していることが前提で、主治医が必要性・合理性を認めることが必須となりますが、目安となる適応疾患についてみていきましょう

陽子線治療・重粒子線治療の適応疾患

陽子線治療 重粒子線治療
脳脊髄腫瘍 頭頸部腫瘍
頭頸部腫瘍 肺・縦隔腫瘍
肺・縦隔腫瘍 消化管腫瘍(食道癌、直腸癌術後局所再発、大腸癌術後骨盤内再発)
消化管腫瘍(食道癌、直腸癌術後局所再発) 肝胆膵腫瘍
肝胆膵腫瘍 泌尿器腫瘍(前立腺癌、腎癌)
泌尿器腫瘍(前立腺癌、腎癌など) 乳腺・婦人科(子宮頸癌、子宮体癌など)
乳腺・婦人科(子宮頸癌、子宮体癌) 転移性腫瘍(肺転移、肝転移、リンパ節転移)
骨軟部腫瘍(脊索腫、軟骨肉腫、骨肉腫など)  
転移性腫瘍(肺転移、肝転移、リンパ節転移)  

出典:公益社団法人日本放射線腫瘍学会「粒子線治療(陽子線治療,重粒子線治療)の疾患別統一治療方針」を元に筆者が作成

陽子線治療の適応疾患の方が多いことがわかります。

陽子線治療・重粒子線治療の適応条件

次に治療を受けることができる適応条件を見ていきましょう。

陽子線治療の一般的な適応条件は以下の通りです。

  • 対象部位に対する放射線治療の既往がないこと
  • 病理診断がついていること
  • 評価可能な病変を有すること
  • 原則として腫瘍の最大径が15cmを超えないこと
  • 広範な転移がないこと
  • 30分間程度、同じ姿勢で動かずに寝ていられること

出典:一般財団法人メディポリス医学研究財団「陽子線治療により効果が期待できるがん」より

また、重粒子線治療の一般的な適応条件は以下の通りです

  • がんであることをきちんと予告されていること(・患者自身ががんであることを認識していること ・悪性の腫瘍であること(良性の腫瘍は対象外)
  • 転移がないこと(広範な全身転移は対象外)
  • 過去に放射線治療を受けたことがないこと(治療を受けた部位と異なるばあいは治療の対象になることがある)

出典:公益財団法人 医用原子力技術研究振興財団「重粒子線治療の対象となる症例」より

いずれの治療法もがん組織に狙い撃ちをするので、不規則に運動する胃や袋状・管状の臓器や白血病、沿革に転移があるなど局所に限定できないがんには不向きです。

また、すでに他の良好な治療法が確率されているがん治療がある場合には適応とされるのは難しいです。

まとめ

陽子線治療・重粒子線治療はがん保険の先進医療特約を付加し、実際に保険給付を受けた場合、特に高額な費用がかかる治療です。

従来の放射線治療と違い、深部のがん組織をピンポイントに破壊し、その他の組織を傷つけることがないことから夢の治療法と言われています。

2つの治療法はほぼ同じですが、重粒子線治療は陽子線治療より破壊力が強く費用もやや高額です。実際に治療を受けた人数や施設数は陽子線治療の方が多いです。

適応可能ながんの種類や条件が細かくあるものの選択肢として知っておきたい治療法です。

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